「人工知能は人間を超えるのか」を読めば見えてくるAIの今後

人工知能は人間を超えるのか レビュー AIの今後が見えてくる

こんにちは。BOSSです。

近年においてはあらゆる分野でAIが注目を集めていることはいうまでもないでしょう。

しかし、もうすでに
AIでなんでもできる世の中

かというとそうとは言えません。

そもそも現状としては、
人工知能はまったく完成していないのです。

AIは確かに未来を変える可能性を持っている
しかし、現状の実力を知らずに過度に期待すること

非常に危険である

そのように警鐘を鳴らすのは

AIの研究分野において日本で非常に有名な
松尾豊先生

今回はそんな松尾先生の著書

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

こちらを読んだ
感想ディープラーニングの可能性

について
書いていこうかと思います。

人工知能は人間を超えるのか

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

本書の構成

本書の構成を先に記しておきます。

本書は序章と終章を含めて

全8章の構成となっており、メインの内容が後半部となります。

つまり、ディープラーニングについて

そしてディープラーニングによる人工知能完成の可能性について模索されており

未来にむけての課題

ということが記されています。

以下でもう少し触れていきます。

本書前半

第2から第5章にかけては人工知能研究の歴史が詳しく書かれています。

以前にも記事として紹介しました
AI冬の時代(以前の記事)

そのうち2度目の冬の時代にさしかかったあたりからAI研究をされていた松尾先生ならではの視点から

AI研究の歴史が振り返られています。

そのなかで、研究者が行ってきた数々のアプローチと

なぜ今まで失敗したのか

そもそも、知能とはなんなのか

ということが記されており、人工知能の入門書として素晴らしい内容であると言えます。

本書後半

ここからが松尾先生の書きたかった内容だと思います。

すなわち、後半部にかけてはディープラーニングという手法にフォーカスされています。

人工知能実現手法として用いられてきた機械学習

たくさんのデータから特徴量を取り出してあげる

という割と古くから用いられている考え方です。

しかし、大きな一つの課題だったものが

特徴量設計(Feature Engineering)

すなわち、特徴量を決定するパラメータは人間の手で行わなければならず
そこには熟練の腕とコストが常につきまとう

という問題がありました。

その課題に対してディープラーニングという手法が1つのブレイクスルーである

ということが詳しく解説されています。

以下すこし内容に触れていきます。

人工知能は実現可能なのか?

前提として
「人工知能は理論上実現可能である」

これが松尾先生の考えになります。

人工知能は人間のように考えるコンピューターと定義しましょう。

するとそこで重要になるのが

人の脳は電気回路である
という事実です。

本書から引用します。

脳の神経細胞の中にシナプスという部分があって、電圧が一定以上になれば、神経伝達物質が放出され、それが次の神経細胞に伝わると電気信号が伝わる。つまり、脳はどう見ても電気回路なのである。

わかりますでしょうか。

人間の脳は電気回路なのです。

電気回路なのですから、人間の脳をコンピューター上で再現することは

原理的に可能である。

可能でなければならないのです。

これはわたし自身の考えと一致しています。

強いAIはいずれ完成される。今はその技術が無いだけです。

しかも技術革新から技術成長速度はとんでもなく速いため、シンギュラリティはふとした瞬間に訪れるだろう。

これが私の立場になります。

コンピューターが知識を獲得するということ

第二次AIブームにおいてはコンピューターに知識を詰め込む

というアプローチが積極的に取られていました。

そこで必ず直面するのは

知識とは何か。どうやって記述するのか。

という問題です。

実はコンピューターに常識を教え込むということが非常に難易度が高いのです。

その一つの例として本書に記されている
シンボルグラウンディング問題を取り上げてみましょう。

シンボルグラウンディング問題とは

コンピューターに知識をつめこむというのが難しい

そう研究者が感じだすと、知識を記述するという研究分野が出てきました。

それがオントロジー(ontology)という研究で

概念化の明示的な仕様

と本書では定義されています。

詳しくは本書を読んでいただきたいのですが

簡単に言えば言語と意味をコンピューターにつかませることができるのかどうか

という研究になります。

例えばコンピューターは「お皿」というものを

文字の記号として「お皿」は認識できますが

[食べる物を入れる器]のことである

という認識はできません。

人間はお茶碗をお皿とは言いませんし、サラダボウルを見て「そこのお皿をとって」

とは言いません。

これは「お皿」が意味する概念をしっかりと理解しているからです。

コンピューターにはこれができないんです。

記号と意味にまつわる議論

それが
シンボルグラウンディング問題

です。

この問題について本書から引用します。

たとえば、シマウマを見たことがない人がいたとして、その人に「シマウマという動物がいて、シマシマのあるウマなんだ」と教えたら、本物のシマウマを見た瞬間、その人は「あれが話に聞いていたシマウマかもしれない」とすぐに認識できるだろう。(中略) ところが、意味がわかっている人間にはごく簡単なことが、意味がわかっていないコンピューターにはできない。(中略) つまり、シマウマというシンボル(記号)と、それを意味するものがグラウンドして(結びついて)いないことが問題なのだ。

コンピューターに言葉の意味を落とし込む難しさが、非常によくわかるかと思います。

特徴量を表現

記号と意味を結びつかせることが難しいということがだんだんわかってきたそんな中

機械学習、とりわけニューラルネットワーク

という分野がよく研究されていました。

ざっくり言えば機械学習は大量のデータをコンピューターに与えて、どういう点に着目させるかというのを設定して情報取り出してきてもらい

コンピューターが物を分けることができるようにする

という技術。

コンピューター自身が学習し、これはお皿でこれはお茶碗で...

というのを分けることができるようにする技術です。

一番発展したのがやはり画像認識分野でしょう。

ところがここでやはり大きな問題が出現しました。

どういう点に着目させるか=特徴量をどう設計するか

ということで学習の結果が大きく変わってきたのです。

この設定を人間自身がやらないといけない

うまくいけば、うまく知識を表現できるが
うまくいかなければもうどうしようもない

これでは技術としては扱いづらく、人工知能に機械学習を用いることが難しかったと本書で解説がなされています。

ディープラーニングが機械学習を変えた

前置きが長くなりましたが

この特徴量の設定をコンピューターにさせることはできないのか
と出てきたのが

ディープラーニングという手法で、ニューラルネットワークを多層にしたというもの。

結果から言えば
特徴量をコンピューター自身で見つけることができるようになりました

機械学習は人の手でどういった情報を抜き出してこないといけないのか設定する必要がありました。

この設定が熟練の技術を必要とするため、実現することができなかった人工知能

ところがディープラーニングによって人の手を介さなくても特徴量をコンピューター自身が見つけられるようになったのです。

これは大きなブレイクスルーで

言い換えてしまえば機械学習が人工知能開発に適用できるかもしれない

今まで詰まっていた部分が解決され、人工知能実現に一歩踏み出すことが

前進することができたのです。

ディープラーニングは世の中を変えるのか?

ディープラーニングのすごさは

「特徴表現を獲得できるようになった」

つまり、記号と意味を結び付けられるようになったかもしれない。

ここにあります。

ただし、それだけです。

完全な人工知能の完成にはまだまだ程遠い。小さな一歩を踏み出したにすぎない状況です。

ただし、ディープラーニングが世の中に与えた影響というのは大きくGoogleを筆頭にさかんに投資され研究されています。

過去2度のブームを振り返ってみると

やはり同じように1つの技術革新があり、世界が注目し期待します。

そうすることでさらに研究がすすみ、実現できそうかできなさそうかというのが分かる

ということが繰り返されてきました。

今の世の中はまさにそのような状況。
ディープラーニングという技術が世界を注目され、さらに人工知能研究を促進させています。

一方で過去2度と同じように
技術的課題が出てくる可能性は否定することができません。

特徴表現の獲得というのは、人工知能実現に向けて重要なピースですが

他にも重要なピースが見つかるかもしれない。

したがって、必ずしもディープラーニングが世の中を一新させるような技術であるとは言えない。

これがわたしの考えであります。

まだ、それだけだったら良いのですが

過去の2度の失敗はAIの冬の時代をうみました。

これは世の中がその技術に大きく期待し、そして失敗に大きく失望したためです。

今は3度目のブームになりつつありますが、大きな課題が見つかった時もしかしたらまた冬がくるかもしれません。

冒頭に記しました通り、松尾先生も

過度に期待することは再び冬を呼び込むかもしれない

と危惧されています。

もちろん、その逆で一気に人工知能の研究が加速することも十分考えられます。

いずれにせよ、ディープラーニングは一つの技術革新である

そういう認識を持たなくてはなりません。

ディープラーニングだけで人工知能が実現するわけではありません。

本書においても松尾先生は

ディープラーニングを用いて今までの研究が踏襲されるだろう

と書かれています。

つまり、今までやってきた人工知能研究にディープラーニングを適応してみる段階に今はあるのです。

それには多少の時間はかかるし、段階的に世の中が変わる余裕がある

わたしはそのように考えています。

まとめ

今回は松尾豊先生の

「人工知能は人間を超えるのか」

を紹介し、ディープラーニングで世の中が変わるのかどうかということを書いていきました。

ディープラーニングが世の中を変えるかどうか

という点に関しては、その可能性はある

しかしまだもう少し時間はかかるだろう。というのが本書を読んだ私の感想になります。

内容について触れていますが、実際に読んでいただかないとわかりにくい部分も多々あるかと思います。

人工知能研究の現状とこれからを知りたい

そういう方はまず手に取っていただくべき本であると読んで感じました。

ぜひ一度手に取って読んでいただきたいです。

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)