AIの躍進と人間の価値観

f:id:wataru_boss:20180527172715p:plain 私が将棋界におけるAIの浸透から機械学習に今日を持った話は以前しました。

今日は将棋界という事例からAIの存在の浸透と人間の価値観について考えてみようかと思います。

AIと将棋界のその後

プロが敗れた直後

2013年3月は将棋界における大きなターニングポイントでした。

初めて将棋ソフトがプロ棋士に勝った日です。

これは初めて現役プロ棋士に勝った将棋ソフトPonanza開発者の山本一成さんのツイートです。

画像から空気感はなかなか感じづらいでしょうが、お葬式という言葉がぴったりでした。プロの先生方に悲壮感が漂っています。

まぁプロ棋士絶対神話が崩れさった日ですから、お葬式で間違い無いのでしょうが。

5年前の当時こそは負け犬だとかソフトに負けるプロの存在意義などと叫ばれていました。

それがそのちょうど一年後の同じ舞台ではどうでしょうか。

敗れた屋敷九段に笑顔が見えますね。屋敷先生の人柄の良さとも取れるのでしょうが。

2018年現在では

今となってはソフトはプロよりも強いというのはある程度常識となっています。

将棋の戦型の流行もプロアマ問わずソフト発祥はもう珍しくありません。将棋のブログでは無いので詳しい戦型の解説は他に譲りますが。

すこし真面目に将棋をやっているアマチュアなら自分のPCに将棋ソフトとそれを動かすGUIがインストールされているはずです。

そして自分の指した将棋を解析したり、プロのタイトル戦を逐一評価値と照らし合わせて楽しんでいたりします。

ここで言いたいのは価値観の破壊と順応についてです。

5年前はソフトの強さにみなが懐疑的で、少なくともプロが負ける未来が来るのは十数年先だと考えていたはずです。

それはひとえに将棋は計算領域に落とし込むのが非常に難しい高度なゲームであり、人だからこそ極められるという意識があったのだと思います。

そんななかで絶対神であるプロ棋士が破れるという非常にショッキングな出来事から、人は価値観を柔軟に変えて行き現在ではもう5年前の考え方とはまるっきり違います。

プロアマ両将棋界のどちらかに関わっていた人間は全てこのういう経験をしていきました。

ブレイクスルーと価値観の変化

さて、このあたりから少し話を一般化していきます。

将棋界におけるAIの進出は他の分野、たとえば画像認識や翻訳といった言語処理などと比較してかなり早いタイミングで人間を追い抜いて行きました。

ひとえに将棋ソフトエンジニアのみなさんの努力と競争の賜物だと思います。

こういった環境の変化は将棋だけでなく(昨年から現在にかけてはAlpha Goにより囲碁界も同様の状況です)あらゆる分野でAIが人間を追い越して行きます。

これは間違いないことです。

将棋界のこの5年間は、人間がAIに抜き去られたあとの人間の行動、価値観の変容といった観点から非常に貴重なモデルケースであると私は考えています。

人はAIにただ敗れ去るわけではありません。

ただ職を取られるわけではありません。

人間の価値観は、あるいは社会構造は強力なAIとどのように棲み分けていくのかを考え、適当に価値観を変えて行き着地点を模索するのです。

AIは敵ではありません。敵と見てしまうと勝てっこないんです。

必ず訪れるAIが人を抜き去る瞬間、その時に備えて今から価値観を柔軟に変えられる準備をしておく。

これが私が将棋界を見てきて得た学びです。