人間は未来予測がへたくそ?

f:id:wataru_boss:20180525215121p:plain こんにちはBOSSです。

さて、今回は未来予測のお話です。

私が機械学習やAIに興味を持ったのは将棋界に居たからという話をしました。

将棋界では比較的AIの台頭が早く、人間をあっというまに抜き去っていったのです。

そんな将棋ソフト界で一番有名なのはおそらくPonanza

そして開発者さんは山本一成さんです。

非常にありがたいことに山本さんはツイッターやノートあるいは書籍などで様々な情報を発信しておられます。

その考えやAIについて、非常に学ばせていただいております。

そして、この記事の一番の主題となる山本さんが書かれた本はこの本。

佐藤天彦名人を2連勝で完勝したPonanzaならではの書籍タイトルですね。

ここでは本当にたくさんAIについて書かれており、AIを全く知らないという方には一度読んでいただきたいです。

さて、前置きが長くなりましたが今日の本題は

人間の未来予測は正確なのかというお話です。

人は未来予測を線形的に行う

先ほどあげた山本さんの本に非常に興味深いことが書かれていました。

その内容は一部こちらから読むことができます。

cakes.mu

簡潔に言えば

人間は「指数的な成長」を 直感的に理解できない

という内容についてです。もう少し深掘りすれば、人間は物事を線形的(リニア)に捉えてしまいがちというお話です。

少し言葉が難しいでしょうか。線形(リニア)と指数的について図を書いてみました。
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簡単に言えば同じような変化をし続けるのが線形的

あるところまでは小さいんだけど、急激に成長するのが指数的

ということです。

さて、人間の感覚は線形的な変化をするものはある程度正しく未来予測が可能です。

例えば時速80km/hで走れば大阪と東京間はおおよそ何時間程度で到着するだろうと予測は容易ですよね。

これは変化の仕方、ここでは目的地までの距離の変化が一定だからということが挙げられます。

一方で指数関数的な変化はどうでしょうか。ここで山本さんの本から再度引用してみたいと思います。

(問題) ある細菌は、1分間に1個から2個に分裂してすぐ同じ大きさになります。 コップのなかにその細菌を1個だけ入れて、経過を見ることにしました。 ちょうど1時間後、細菌はコップいっぱいにまで増えました。 細菌がその半分の数だったのは、実験の開始から何分後の時点でしょうか?

答えは
1分で2倍ずつ増えていくわけです。

ですのでちょうど半分のタイミングは1時間の1分前の開始から59分の時点です。

さて、理屈から考えたらこれは簡単な問題です。

高校生でもわかります。

しかし、感覚的にこれは捉えられますでしょうか?ちょっと難しかった人もいるかと思います。例えば30分くらいかなって考えたとか。

ここが人間は変化予測あるいは未来予測は線形的に行ってしまうというツボになるわけです。

将棋界でおきたこと

さて、この辺りは山本さんの本の内容の紹介ですね。

ここからは少なくとも10年は将棋界を見てきた私が、リアルに起きた事例として人間の未来予測の仕方について考えて見たいと思います。

ご存知の通り、現在においては将棋ソフトは人間の実力よりも遥か高みに到達しました。

たとえ名人、つまり人間の頂点であっても勝つことができないことも示されています。

そしてソフトを上手に活用できる人が今人間のトップに立とうとしています。

では将棋ソフトの歴史はどうなのか。

実は将棋ソフトの歴史は意外と古くて

Bonanzaと呼ばれる現在の将棋ソフトの全ての父ともいえるソフトが初めて世にでたのが2005年です。

そして2007年にはBonanzaはプロ棋士渡辺明と対局をし、敗れています。

ではここで一つの疑問です。意外と古い将棋ソフトの歴史を鑑みて、人間がソフトには敵わないと認識したのはいつごろでしょうか?

おそらくは2015年ごろです。最前線でソフトとしのぎを削っていたプロ棋士でさえ、その認識を持ったのはわずかに3年ほど前です。

世の中に浸透したという意味で言えばそれよりも後であると考える方が自然です。

つまり、それまではどんなに強くなってもプロ棋士には敵わない。もしくはいい勝負が出来るくらい。

そういう考え方が多数派だったわけです。

つまりAIの実力の上昇の仕方を完全に人間が見誤っていたのです。

その原因は
指数関数的な成長をするAI(将棋ソフト)の成長を線形的に未来予想してしまった

からに他なりません。

今、未来予測を修正しよう

この現象は将棋界の人間がバカだったのでしょうか?

それは違います。

たまたま、将棋界がAIに抜かれるタイミングというのが早かったというだけの話です。

その証拠に囲碁界はここ2年程度で一気に抜かれましたよね。

ボードゲームに限った話ではありません。

ありとあらゆる分野でAIの影響は顕著に現れます。

AIは指数関数的な成長をします。

将棋界というモデルケースをよく観察することができた私だからこそ断言します。

指数関数的な変化というのは追いつかれたと感じたその瞬間に遥か高みに抜き去られていくのです。

さて、現在は人の力で成り立っていると思っているあなたの専門分野。あなたの業界。職業。

来年は本当に同じ状況ですか?

線形的な成長評価を下してしまっていませんか?

もしそうならば早めに未来予想を軌道修正することをお勧めします。

なぜならば、そうなった世界においてはAIの力を上手に使える人が上にのし上がっていくからです。

AIの実力の伸び方を正確に捉え活用できる人こそが、トップに立てる

それが将棋界を見てきた私の結論です。